発達障害の仕事

アスペルガーの適職はITなのか?|デンマークのASD限定IT教育

プログラミングするひと

「アスペルガーの適職って何だろう?」

こんにちは、ぷり子@puriko_adhdです

わたしは

  • アスペルガーとADHDを併存
  • システムエンジニア(SE)の経験あり

です

こうした属性をふまえて、前半で

アスペルガーの特性がITに適職ってホント?

また

ADHDも併存している場合も、適職はITなの?

という疑問に、経験した身として答えたいと思います。

後半では「アスペルガーの特性がITに適職」という考えで、行われているデンマークの就業プログラムをご紹介します

アスペルガーの適職はIT?

もともと文系の大学で、卒業間近にC言語で「Hello World」をさらっと覚えて入社したので「プログラミング」も、まるっきり素人でした

それでも、新卒で入社した会社では、勤務時間があっという間に経つほど「プログラミング」に熱中しました

ですが自分の場合、アスペルガーの特性である「想像力の欠如」がひどく、SEに必要とされる

  • データーベース設計
  • イレギュラーなパターンを考慮した設計

などが、向いていませんでした

(※データーベース設計は、先の先まで発生する状況を考慮する必要があります)

じゃあ設計じゃなくて、プログラミングだけをやっていれば良かったのか、と言われれば難しいところです

自分の場合、研修中に分かったことですが、内部構造よりも「視覚的にこだわるタイプ」で、プログラミングも楽しいけど、それより「分かりやすい」とか「見やすいように作り変える方」に興味が傾いていました

くわえてADHDの多動性も現れ、どんどん複雑になっていく「内部構造」にどうしても興味がもてず、就業時間中にじっと座っているのが苦痛で、最終的に「うつ」になって退職してしまいました

なので、ADHDの「多動」が心配なら、外出先でも仕事ができる方が適しているかもしれません

(社外持ち出し禁止か、サーバーにUPされてると難しいのかな…)

1つの特性だけが、抜きん出るひとというのは稀で、ほとんどのひとが、わたしのように「アスペルガーとADHD併存」が多いので、重なり合う特性をふまえると、

  • ADHDの「新奇追求性」→ 長期に渡るプロジェクトに、途中で興味を無くす可能性あり(※ アタマの中が多動で混乱)
  • 納期に間に合わないことが多い業界で、いつも繁忙期の可能性もあり、スケジュール管理が重要
  • アスペルガーの「こだわり」→ 新しい技術の吸収を拒否する可能性あり
  • ADHDの「新奇追求性」→ 新しいIT技術の吸収に役立つかも
  • アスペルガーの「1点集中」→ 1つのプロジェクト完遂にGOOD
    ※あくまで、個人的な経験に基づく見解なので、参考程度にしてください
    こう並べると、向いていないように思えるかもしれませんが、うまくマッチすれば、他を圧倒的に凌駕する勢いで、伸びていく場合もあります

    私の貧弱な「IT業界」の経験から、伝えられることは以上です
    次に、デンマークのアスペルガー限定で行われているIT就業プログラムについて、です。
    デンマークは就業率「80%」を超えないと、すぐに支援を打ち切られてしまうこともあって、それなりに真剣に取り組んでいるので、参考になると思います

アスペルガー限定のIT教育

デンマークでは、アスペルガー症候群(ASD)の若者限定で、IT教育を行い、就労につなげようとするプログラムがあります1)福島大学地域創造 第28巻 第1号 58~63ページ2016年9月「デンマークの ASD者就業支援の一例について

「アスペルガー(Asperger Syndrome)」と「IT」を組み合わせてAspIT

AspIT は、コンピュータの仕組みがASDの人たちの発達特性にフィットすることを最大限に活用して教育を行い、就労につなげようとするプログラムです

AspITとは

  • アスペルガー 症候群の若者の直観的・視覚的能力を活かしてIT産業に参加、または起業できる人材を育てようとする試み
  • ほぼ80%の就業率を達成

授業は1つの分野に集中して「3〜6週間」集中して行われ、これはひとつのことにフォーカスすることが得意というアスペルガーの強みを活かした教育形態になります

具体的な教育内容は、企業から依頼されたタスク(たとえばアプリケーションソフトの修理など)に教員とともに取り組む実践的なものです

インターンシップ

インターンシップにはメンター制度が設けられていて、インターンシップ受け入れ企業のメンター候補者は AspIT のメンター研修コースを受けます

メンター制度はAspITの学生が、スムーズにインターンシップを修了するために大きな助けになっています

企業側にもメリットあるインターンシップ

インターンシップは、企業にとっても高いIT能力を有する人材を受け入れるメリットもあり、

インターン学生にあわせて行った企業内の環境や、手続きの改善がいわば、ユニバー サルデザインとして企業のスタッフたちにも有効なものと評価されています

学生の社会性教育については、日常の様々な機会のなかで行っており,特別なプログラムを課す必要はないという考えです

「AspIT」は国内10か所、 ドイツ1カ所の計11カ所に広がっています

企業が行うアスペルガーの就業支援

デンマークには、ほかにもコペンハーゲンの企業「スペシャリスターネ」がアスペルガーの特性をもつ青年への職業訓練を行っています

先の「AspIT」と違う点は、スペシャリスターネ自体が訓練を受けたアスペルガーの青年を雇用する企業でもある、という点です

  • 対象は、学生義務教育学校卒業後の「16歳から25歳まで」の青年
  • 教育期間は3年(最長5年までのばせるので最年長は28歳)
  • 対象学生は「平均的な知能を持つアスペルガー青年」

社長の子供が「自閉症」

スペシャリスターネの「トーキル・ソンネ社長」によると、息子のひとりが「自閉症」で、彼は能力はあるが社会的関係をもつことに困難を抱えていました

ソンネ氏は、息子を変えて社会に送り出すのではなく「労働市場を変える」という考えで、2003年にスペシャリスターネを始めました

やがて世界中から同じ問題を持つ保護者(日本も含む)からメールが来るようになり、スペシャリスターネはSPF(Special People Foundation) を設立します

この設立は、本基金にかかわる自閉症者100万人の就業を目指すということになり、現在、14か国で展開し、各国のIT会社と提携関係を持っています

提携を結ぶある会社では、その被雇用者の1%にあたる自閉症を雇う規定をもっているので、700人の自閉症者の雇用を実現します

またそれよりも大きい会社ならば、雇用される自閉症者はより多くなるので、日本にも基金の支部をつくり,日本の企業での雇用を実現したいと考えているようです

アスペルガーへの考え方と教育内容

スペシャリスターネでは

アスペルガーの特性を「欠如」ではなく「価値」

とみなしていて、会社・教育部門を合わせて「80人から90人」のアスペルガーを持つ人が働いており、組織内で自閉症の診断を受けていない人はいまのところ16名になります

教育内容は

  • プログラミング(レゴのマインドストーンとい うロボットを使う)
  • ゲーム開発
  • 電気工学

※ イーサン(ヨーロッパ共同ロケット開発)がロケット打ち上げに成功していますが、その宇宙船で使うロボットのコンテストで本校の生徒3名がファイナリストに残っています

語学は

  • 国語(デンマーク語)
  • 英語
  • 数学

また「統合科目」

  • コンピュータで音楽をつくる
  • 映画をつくる
  • 音楽・ゲーム・プログラミングなど融合させる

などもあります

アスペルガーの青年は、社会生活に必要なスキルが身についていないことが多いため、生活に関しては「基本的生活習慣」を身につけます

具体的には

  • 文化と社会の理解
  • 食べ物と健康
  • 社会と相互作用
  • 自分を知る
  • キャリア教育

などです

そのほか「心理教育」では、アスペルガー(ASD)としての特性を知り、それに対応するもの、またそれを活かす行動・態度を知るようにします

さいごに行われる、ITに適しているかの見極め期間は、12週間の観察期間で観察を行います

  • IT教育に適応できる→ 移行
  • IT教育には向かない→ 他の教育・訓練のコースに移行

 

ここまでアスペルガー限定の就業プログラムについてお伝えしてきましたが、最後に「AspIT」と「スペシャリスターネ」を比較してみましょう

アスペルガー就業プログラムの比較

注)「STU」とは「STU法2)発達障害 などの特別なニーズをもつ青年が、社会人としての生活にできる限り自立的かつ積極的に参加できるように、個人的、社会的、職業的な能力を獲得できるようにすることを目的とした法」に基づき、3年間の援助金を受ける学生に教育を行う機関のこと

2か所ともアスペルガーの特性(視覚的直観的な理解が得意で、単純作業への集中の持続)を活かして「IT関連企業」への就業を目指すという点で同じになります

「AspIT」の方は、1度80%の就業率を達成できず、大本の支援機関から、支援を打ち切られてしまっています

そういう失敗もあって、入所にはそれなりに、あらゆることをチェックして、適性かどうかを見ているようなので、就業率も80%を達成できたのかな、と思います

(欲をいえば、その後の追跡調査も知りたかった…)

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References   [ + ]

1. 福島大学地域創造 第28巻 第1号 58~63ページ2016年9月「デンマークの ASD者就業支援の一例について
2. 発達障害 などの特別なニーズをもつ青年が、社会人としての生活にできる限り自立的かつ積極的に参加できるように、個人的、社会的、職業的な能力を獲得できるようにすることを目的とした法